アルツハイマー型認知症とは?症状の特徴、原因や予防法など全解説

今、日本に500万人以上いるといわれている認知症。

その中でも最も多いのがアルツハイマー型認知症です。

記憶の障害がでてしまうこの病気は、進行していくと日常生活におおきな支障が発生します。

本記事ではアルツハイマー型認知症について詳しく解説していきます。

アルツハイマー型認知症とは?病態について解説

アルツハイマー型認知症とは?病態について解説

アルツハイマー型認知症とは「アルツハイマー病が原因で発生した認知症」のことをいいます。

認知症の中で最も割合が多く約60%程度がこのアルツハイマー型認知症だといわれています。

以前は「アルツハイマー病」「アルツハイマー型認知症」を違うものとして区別していましたが、現在では病理学的にほとんど同じだとして区別することは少なくなりました。

アルツハイマー型認知症の特徴

アルツハイマー型認知症の特徴

アルツハイマー型認知症の特徴は以下のようなものです。

  • 記憶の障害がでてきて物や人、出来事を覚えられない
  • 判断力が低下し、その場に合った行動ができなくなる
  • 時間や場所がわからなくなる
  • ものの使い方や動作がわからなくなる

これらは認知症の中核症状とよばれるもので、脳の機能の低下によって起こってくるといわれています。

認知症との違いは?

認知症とは「脳の機能の低下により認知機能が低下し、日常生活に支障をきたした状態」という定義があります。

認知症の1つにアルツハイマー型認知症があります。図にすると以下のようなイメージです。

基本的には認知症の原因となる病気の名前がついています。

アルツハイマー病が原因なら「アルツハイマー型認知症」、脳の血管が原因なら「脳血管性認知症」となります。

アルツハイマー型認知症の診断基準

アルツハイマー型認知症の診断基準

アルツハイマー型認知症の診断基準にはいくつかのステップがあります。

しかし、その詳細は複雑で専門的に理解することは難しいでしょう。

ここでは難しい言葉をなるべく使わないようにしながら、簡単に説明していきます。

なお、診断基準には米国精神医学会診断・統計マニュアル改定第4版(DSM-IV)を参考にしています。(本記事の参考文献は記事最後にまとめます。)

1:意識障害がないことを確認

まずは意識の障害がないことを確認します。

呼びかけなどにちゃんと反応してくれるかを検査します。

2:記憶障害があることを確認

アルツハイマー型認知症は記憶の障害があります。

そのため、いくつかの簡単なテストを行い、記憶障害の有無を確認します。

3:その他の機能が障害されているかを確認

次の4つの項目のいずれかの障害がでているかを確認していきます。

  • 言葉がうまくつかえない
  • 物がうまくつかえない
  • 道に迷う、もしくは時間の感覚がおかしい
  • 計画をたてたり、順序立てたりすることができない

4:他の脳疾患の可能性を排除していく

レントゲンやMRI、CTなどを使って他の脳疾患の可能性を消していきます。

画像の検査を行うと別の脳の疾患で認知症が起こっていることが判明することがあります。

5:他の病気の可能性を排除していく

脳の疾患以外で認知症の症状がでることがあります。

脳以外の全身の状態を確認し、その可能性を消していきます。

6:薬やアルコールの可能性を排除していく

薬やアルコールによって認知症の症状が現れることがあります。

問診や今までの服薬の状況を確認していき、その可能性を消していきます。

7:うつ病などの精神疾患の可能性を排除していく

うつ病と認知症の症状は似ていることがあります。

そのため、うつ病などの精神疾患の可能性を消していく必要があります。

以上の7つのステップを進んでいき、アルツハイマー型認知症の診断をおこなっていきます。

家族が判断するには難しい内容がありますので、専門家のもとで診断を受けることをおすすめします。

アルツハイマー型認知症の原因

アルツハイマー型認知症の原因

アルツハイマー型認知症の原因はいまだ解明されていません。

現在、有力な説は脳の中に溜まってしまうタンパク質だといわれています。

アミロイドとタウ蛋白(たうたんぱく)というゴミが脳内の神経に蓄積し、さまざまな障害がでてしまうというものです。

この脳の変化は現在のところ、もとに戻ることはないとされています。

症状を経過と共に解説

症状を経過と共に解説

アルツハイマー型認知症は経過とともに日常生活に支障をきたします。

どのような経過をたどっていくのかをみていきましょう。

初期症状

初期に現れやすいのが記憶の障害です。

とくに最近起こった出来事に対する記憶が苦手になります。

数日~数週間前に経験したイベント(結婚式など)なども覚えておくことができなくなります。

同じ会話をくり返したり、趣味などへの関心がなくなったりすることもあります。

また、記憶することが苦手になることにより、「物取られ妄想」も初期の段階で起こりやすいといわれています。

中期症状(中核症状)

症状が進行してくると記憶の障害だけでなく、他の機能の低下も目立つようになります。

  • 人の顔がわからなくなる
  • 時間や場所がわからなくなる
  • 料理などの家事ができなくなる
  • 言葉がうまく使えなくなる
  • 物の使い方がわからなくなる

人によって現れ方は違いますが、これらはアルツハイマー型認知症の中心的な症状(中核症状)です。

この時期になると日常生活が困難になることがほとんどであり、介護の必要性が高まります。

末期症状

脳の機能の低下によって身体機能の問題が顕著になってきます。

  • 食べ物を飲み込みづらくなる
  • 睡眠時間が長くなる
  • 歩くのが苦手になる
  • 妄想や幻覚がでることもある

アルツハイマー型認知症の平均寿命は発症してから約8~9年といわれています。

最終的には寝たきり状態になり、死の転機をむかえます。

アルツハイマー型認知症の方に多い死因とは?

アルツハイマー型認知症の方に多い死因とは?

アルツハイマー型認知症の死因の一つに誤嚥性肺炎というものがあります。

これは飲み込む力が弱くなったことにより、肺に食べ物が入り肺炎を起こしてしまうものです。

認知症の方の死因を調査した研究では70%程度が肺炎だというデータも存在しているようです。

そのため、アルツハイマー型認知症の進行にあわせて食べ物の形状を変える工夫が必要になってきます。

肺に食べ物が入ってしまうことを少しでも防ぐ工夫をしましょう。

アルツハイマー型認知症に予防法や治療薬はある?

アルツハイマー型認知症に予防法や治療薬はある?

現在のところ、残念ながら根本的な治療法はないとされています。

進行を緩やかにするための薬や脳の機能を向上させるトレーニングなどが主流となっています。

治療薬の種類

アルツハイマー型認知症の治療薬はおもに4種類あります。(2019.4月時点)

  • ドネペジル(日本名:アリセプトなど)
  • リバスチグミン(日本名:リバスタッチパッチなど)
  • ガランタミン(日本名:レミニールなど)
  • メマンチン(日本名:メマリーなど)

これらの薬は脳の中の神経伝達物質を調節する働きがあります。

アルツハイマー型認知症を治すためのものではなく、症状のケアに役立つ可能性があるもとという位置づけです。

薬の効き目は個人差が大きく、一定期間しか有効でない場合もあります。

予防法の種類

アルツハイマー型認知症の予防法にはいくつかの種類があります。

  • 運動療法
  • 音楽療法
  • リアリティオリエンテーション(RO)

さまざまな研究論文がありますが、確実な効果があるといわれているものは現時点では存在しないようです。(2019.4月時点)

しかし、気持ちのリフレッシュになり結果的に症状が緩和する可能性もあるされているため、全く意味がないというわけではありません。

アルツハイマー型認知症の介護法

アルツハイマー型認知症の介護法

本章では介護法の中でも、とくに質問されることが多い「認知症の方への対応の仕方」についてまとめていきます。

対応の仕方の要点は以下のようなものです。

  • 本人の考えや行動を否定しない
  • できることは本人に任せる
  • 頭ごなしに怒ることはしない

この3つが大切なポイントになります。

詳しく解説してみていきましょう。

本人の考えや行動を否定しない

アルツハイマー型認知症になると、本人にしか理解できない行動をとることがあります。

そのような場合に行動や考えを否定しないようにしましょう。

意味がわからないような行動や考えに感じることがあっても、実はちゃんとした意味や理由があります。

本人なりに考え行動した結果なのです。

脳の機能の低下によって理由や意味をうまく言葉で説明できないことも多く、本人もストレスを感じています。

プライドや尊厳を守ることが重要です。

できることは本人に任せる

脳の機能が低下してくると、必然的にできることが少なくなります。

家族が本人の身の回りのことを手伝うようになります。

しかし、アルツハイマー型認知症を発症していても感情はしっかりと保たれているため「誰かの役に立ちたい、役割がほしい」と思っていることが多いです。

そのため、できることが少なくなったとしても可能な範囲で任せる配慮も必要です。

全てのことを奪ってしまうと結果的に自信の喪失につながり、精神的に不安定になってしまうこともあります。

頭ごなしに怒ることはしない

日常生活をともに過ごしていると、怒りたくなってしまうこともあります。

そのような時、頭ごなしに怒ることは避けましょう。

脳の機能が低下しても、感情はとても鋭く敏感です。

怒られたことを気にしてしまい、症状の進行が進んでしまうこともあります。

一見不可解な行動だとしても、本人にとっては意味のある行動なのかもしれないので、一旦理由を尋ねてみることも大切です。

お互いのストレスがたまらないようにするのが介護のコツ

アルツハイマー型認知症の方の介護は気持ちの面で疲れてしまうことも多いです。

介護の期間も長く、家族がストレスを強く感じてしまい関係が悪化することも珍しくありません。

いくら怒らないように・否定しないようにとわかっていても実際に難しい場面も多々あります。

一方が多くのストレスを抱えないためにも介護保険サービスをうまく利用するのも大切な手段です。

家族の力はとても大きな支えですが、外部のサービスを利用することで精神的に楽になるケースは山ほどあります。

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アルツハイマー型認知症の方が利用できる施設

アルツハイマー型認知症の方が利用できる施設

認知症の方を受け入れてくれる施設にはいくかの種類があります。

以下の表をご覧ください。

施設名 特徴
特別養護老人ホーム 要介護の高齢者が入居できる施設です。
民間の施設よりも低価格で利用できるため、希望者が多い。
有料老人ホーム 特別養護老人ホームに比べ、費用はかかりますがその分サービスが充実している。
介護やリハビリに力をいれているところもあります。
サービス付き高齢者住宅
(サ高住)
高齢者向けの賃貸住宅です。
認知症の場合は入居に条件がある場合があります。
ケアハウス 認知症の方に特化した施設。地域密着型で少人数のグループで共同生活をしていきます。
グループホーム 認知症の方に特化した施設。地域密着型で少人数のグループで共同生活をしていきます。
デイサービス 入居ではなく、日帰りで通う施設。入浴、食事、運動などのサービスを行っています。

それぞれにメリット・デメリットがあります。

各施設で認知症の受け入れは可能ですが、条件を提示される場合があります。

さまざまなニーズに対応するため、高齢者施設は多様化しているため、利用前にしっかりと確認することをおすすめします。

施設はどんな時に利用するか

全てのケースではありませんが、傾向として次のような利用の仕方が一般的です。

  • 自宅で家族が介護できる状態の場合は、訪問介護や訪問看護、デイサービスなど入居ではない方法で介護を行っていきます。
  • 自宅での介護は難しくなっていた場合に特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどの入居できる施設を利用します。

アルツハイマー型認知症の進行の仕方によって、必要になる介護がその都度変わってきます。

そのタイミングに合う介護サービスや施設を検討しましょう。

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まとめ

アルツハイマー型認知症まとめ

アルツハイマー型認知症は脳の機能が低下する病気です。

60歳から徐々に患者数が増えていき、認知症の中でも最も多い種類といわれています。

記憶の障害が最初に起こりやすく、進行してくると徐々に日常生活に支障が出てきてしまいます。

症状の経過によって、その時に必要な介護やサービスが変わってくるため、本人と支える家族がお互いにストレスがかからない方法を探す必要があります。

家族で全てを抱えてしまうと、精神的に疲労がたまってしまうケースが多いため、ケアマネージャーと密に相談することをおすすめします。

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