高齢者が住まいにできる施設の中でケアハウスというサービスをご存知でしょうか?
比較的安い費用で施設を利用でき、必要なサポートを受けながら暮らしていくことができます。
本記事ではケアハウスの特徴や費用、入居の条件などを詳しく解説していきます。
目次
ケアハウスとは?定義を解説
ケアハウスとは、家庭環境や金銭的な問題により自宅で生活することが難しい高齢者の住まいとして誕生しました。
食事など日常生活に必要なサポートを提供し、安心して暮らすことができる高齢者施設です。
大きな特徴はサービスにかかったお金の一部を自治体の補助金によって賄われるという点です。
本人の収入や自治体によって補助される金額は変わってきますが、入居する際にかかるお金の負担を減らすことができます。
ケアハウスの種類
ケアハウスはもともとは軽費老人ホームと呼ばれていました。
時代のニーズに合わせて呼び名が変化しています。
それぞれの施設の特徴をみていきましょう。
軽費老人ホームA型
A型は「自立している高齢者」が対象です。
食事の提供があります。
(さまざまな問題で一人暮らしが難しい高齢者が対象。ただし、介護が必要となる人は利用することができません。)
軽費老人ホームB型
B型もA型と同じく「自立している高齢者」が対象です。
食事の提供はありません。
(さまざまな問題で一人暮らしが難しい高齢者が対象。ただし、介護が必要となる人は利用することができません。)
軽費老人ホームC型(現在ケアハウスと呼ばれているもの)
軽費老人ホームC型には、一般型と介護型と呼ばれる2種類の施設があります。
- 一般型:介護が必要でない、または軽度の介護が必要な方のための施設
- 介護型:介護が必要な人のための施設
現在、ケアハウスと呼ばれるものはこの軽費老人ホームC型を指します。
A型、B型、C型の違いとは?なにが違うの?
以前は軽費老人ホームA型とB型しかありませんでした。
この2つの施設の入居条件には所得制限があり、高齢者が急増している現在のニーズと合わないものとなってしまいました。
そこに登場したのが所得制限のない軽費老人ホームC型(ケアハウス)です。
それぞれの施設の特徴まとめると下記になります。
A型 | B型 | C型(一般型) | C型(介護型) | |
---|---|---|---|---|
年齢 | 60歳以上 | 60歳以上 | 65歳以上 | |
所得制限 | 月収33~34万円以下 | なし | ||
食事 | 食事提供あり | 食事提供なし | 食事提供あり | |
今後の新設 | 新設されない | 新設される |
現在では軽費老人ホームA型とB型は新設されていません。
今後新しく作られるのは軽費老人ホームC型(ケアハウス)のみとなっています。
これから先、本記事ではケアハウス(軽費老人ホームC)について解説していきます。
ケアハウス(軽費老人ホームC型)の入居条件とは?
入居条件は一般型と介護型で異なります。
一般型 | 介護型 | |
---|---|---|
年齢 | 60歳以上 | 65歳以上 |
所得制限 | なし | |
夫婦の場合 | どちらかが60歳以上 | 施設によって異なる |
介護度 | 自立もしくは軽度の要介護 | 要介護1~5 |
一般型は主に自立の方をメインとしているサービスです。
そのため共同生活をしていける身体機能が必要になってきます。
介護度が上がってしまい、共同生活に支障がでてしまったら退去しなくてはいけないケースもあります。
介護型は主に介護が必要な方をメインとしているサービスです。
介護度が重たくなっても入居できる施設が多いです。
認知症の受け入れに関しては施設によって差があり、入居前に確認する必要があります。
入居の際に必要なもの
入居の際には施設に書類を提出します。
その際にいくつかの必要書類がありますのでご紹介します。
一般型の必要書類
- 入居申込書
- 健康診断書
- 住民票
- 身元保証書
- 収入証明書
- 年金証書
以上です。
自治体からの補助金も関係してくるため、これらの種類をもとに審査が行われます。
介護型の必要書類
- 一般型と同様の書類
- 介護保険証
以上が必要になります。
施設によって必要書類は多少異なりますので、事前の確認が必要です。
生活保護の人も入居できる?
生活保護受給者の方も利用することができます。
しかし、全ての生活保護受給者の方が入居できるというわけではありません。
入居できる条件を確認していきましょう。
入居できる | 入居できない |
---|---|
住宅扶助費を超えていない | 住宅扶助費を超えてしまっている |
上記表にも記載しているように住宅扶助費*が問題になってきます。
この費用を超えてしまう施設を選んでしまうとケアハウスは利用することはできません。
自治体や施設によって利用料は異なりますので、施設やケアマネージャーに確認をとることが必要になってきます。
※住宅扶助費とは、自治体が住宅に必要な費用を負担してくれる制度のこと。生活保護制度のひとつ。地域によって支給される基準額が異なる。
ケアハウス(軽費老人ホームC型)にかかる費用、料金種別を解説
次に費用をみてみましょう。
一般型と介護型では必要とされる費用が大きく違います。
介護サービスがついている介護型の方が費用はかかります。
初期費用 | 月額料金 | その他 | |
---|---|---|---|
一般型 | 20~30万円 | 数万円~15万円 | 保証金 |
介護型 | 数十万円~数百万円 | 15万円~20万円 | 入居一時金 |
一般型も介護型も入居する際には初期費用が発生します。
そして上記表に加え、一般型の場合は「保証金」*、介護型の場合は「入居一時金」が必要になります。
これらの初期費用は利用施設によって異なるため、どのような費用がかかるのかを確認することが大切です。
※保証金と入居一時金の違い
保証金は賃貸物件の「敷金」のようなものです。
退去する際に部屋のクリーニングや補修をその費用から行い、余ったお金は返却されます。
入居一時金は「施設を利用するための頭金」のようなものです。
返却ルールについては決められた法律がないため、施設ごとに違います。
補助金はある?
ケアハウスには、自治体からの補助金が支給されます。
これは入居している方の経済負担を減らすために行われるものです。
このような自治体からの補助があるため、施設利用者は比較的安い費用で入居することができるのです。
注意点として、この補助金は入居者本人に支払われるものではありません。
あくまでもケアハウスに補助金が支払われます。
この補助金によって施設の運営を行い、結果として入居者は安い費用で施設を利用することができます。
ケアハウス(軽費老人ホームC型)と他施設の違いを解説
ケアハウスと他の施設との違いを比較してみましょう。
一見すると同じような施設に感じるかもしれませんが、比べてみるとしっかり違いがあります。
ケアハウス(軽費老人ホームC型)と有料老人ホームの違い
以前、この2つの施設は違うサービスを行っていました。
しかし、現在では施設の特徴が多様化し、はっきりと区別することが難しくなっています。
大まかにですが、2つの施設の違いを比較していきます。
食事提供 | 介護サービス | 初期費用 | 月額費用 | |
---|---|---|---|---|
一般型ケアハウス | あり | なし | 20~30万円 | 数万円 ~15万円 |
介護型ケアハウス | あり | 数十万円 ~数百万円 |
数万円 ~20万円 |
|
介護付き 有料老人ホーム |
あり | 0~1億円以上 | 十数万円 ~数十万円 |
|
住宅型 有料老人ホーム |
あり | なし | ||
健康型 有料老人ホーム |
あり | なし |
特徴 | |
---|---|
一般型ケアハウス | 家庭環境や経済状況に不安のある方を対象としている |
介護型ケアハウス | 一般型の特徴+介護が必要な方を対象にしている |
介護付き 有料老人ホーム |
介護体制が充実している |
住宅型 有料老人ホーム |
施設によって特徴がさまざま |
健康型 有料老人ホーム |
一人暮らしが不安な自立した高齢者を対象にしている |
ケアハウスと有料老人ホームの最も大きな違いは費用面にあります。
ケアハウスは費用が安く、経済的に不安のある方でも入居することが可能です。
一方、有料老人ホームは経済的に余裕のある方を対象にしているといえるでしょう。
その分、介護体制やサービスの質は高いです。
ケアハウス(軽費老人ホームC型)とグループホームの違い
両者の違いを解説します。
この2つの施設は大きく違います。
簡単にまとめると「認知症のある方を対象にしているか」の違いです。
グループホームは認知症の方を対象にしている施設です。
9名以下のグループで生活し、さまざまな介助やサービスが提供されます。
特徴 | |
---|---|
ケアハウス | 認知症の方の受け入れは施設によって異なる。 |
グループホーム | 認知症の方を専門に受け入れしている |
ケアハウスでも認知症の方を対象にしている施設もありますが、専門的には受け入れはしていないところがほとんどです。
ケアハウス(軽費老人ホームC型)とサービス付き高齢者住宅の違い
ケアハウスとサービス付き高齢者住宅(サ高住)の違いを解説します。
この2つの施設は似ている部分が多く、違いがわからないという方も多いです。
両者の特徴を比べてみましょう。
特徴 | |
---|---|
ケアハウス | 自治体からの補助金があるため入居の際に審査がある。 基本的に家庭環境や経済的に不安がある方が入居する。 賃貸住宅ではない。 |
サ高住 | 賃貸住宅に安否確認、緊急時対応、生活相談がついている。 介護サービスは基本的についていない。 入居の審査はケアハウスほど厳しくない。 |
サービス付き高齢者住宅は基本的に民間業者が運営する賃貸住宅です。
一方、ケアハウスは高齢者施設の分類になっています。
大きな違いは入居審査時の条件です。
サービス付き高齢者施設は賃貸住宅なので、ケアハウスほど審査が厳しくありません。
初期費用も低額で抑えられることが多いです。
まとめ
ケアハウスは自治体からの補助金によって運営されるため、比較的安い費用で入居することができます。
人気のある施設ですが、高齢化社会の中でまだまだ数が足りないのが現状です。
施設によっては数か月待ちのところも存在します。
各施設に特徴があるため自分の生活にあった住まいを検討してみましょう。
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