高齢者施設といえば、有料老人ホームといった住まいとして介護サービスを利用できる施設が真っ先に思い浮かびます。
しかし、住まいではなく日帰りの介護サービスもあります。
その最たる例がデイサービスです。
本記事ではデイサービスの役割や目的、費用面などを詳しく解説していきます。
目次
デイサービスとは?目的は?
デイサービスとは通所介護と呼ばれるものです。
とても簡単にいうと、日帰りの介護サービスのことをいいます。
ただ、通常デイサービスという言葉自体は上記で説明した通り「福祉施設に通って受ける日帰りサービス」の事を指すのですが、近年では「日帰りサービスを受けることが出来る施設」そのものを指した使われ方もしています。
どちらも通所介護サービスについての単語であることは同じなので、本記事でもデイサービス=施設とサービス双方を指す言葉として進行していきます。
デイサービスは高齢者の心身の機能の維持や介護をする方の負担の軽減を主な目的としており、以下のようなニーズに応えています。
- 家族以外の方と交流をしたい
- 自宅では入ることが難しいので施設で入浴をしたい
- 体の機能が落ちないように運動をしたい
- 介護する側のストレスや負担を軽減する
デイサービスには宿泊の機能がないため、基本的には自宅から通いながら利用します。
高齢者施設に入居するほどではないけど、介護の支えが欲しいというときに便利なサービスです。
また、通う際にはデイサービスが自宅まで車で迎えに来てくれます。
デイサービスの種類
デイサービスには大きく分けて4種類あります。
以下のようなものです。
種類 | 目的 |
---|---|
通常規模~大規模デイサービス | 基本的なデイサービスの形です。1日に十数名~60名程度の高齢者が通います。 |
民家型デイサービス | 一軒家を改装しデイサービスとして利用している施設です。 1日の定員は10名以下となっています。 |
リハビリ型デイサービス | リハビリに特化したデイサービスです。 他のデイサービスと違い、午前中もしくは午後のみの利用になっています。 |
認知症デイサービス | 認知症に特化したデイサービスです。 12名以下の少人数で利用することができ、認知症の専門的な知識を持った介護サービスを受けることができます。 |
デイサービスは高齢者の方のニーズに合わせて、通う施設を決めていきます。
例えば社会交流がしたいというニーズが強い場合は人数の多いデイサービスが良いでしょう。
大人数で過ごすのは苦手だという方は民家型や少人数型のデイサービスがおすすめです。
また、運動を集中して行いたいという方はリハビリに特化したデイサービスが合っています。
デイサービスの内容・流れ
デイサービスの基本的な流れについて解説していきます。
まずは通常規模~大規模デイサービス、民家型デイサービス、認知症デイサービスの1日の流れです。
8:30 | ご自宅まで送迎 |
9:00 | デイサービス到着 |
10:00 | 入浴 |
12:00 | 昼食 |
13:30 | レクリエーション |
15:00 | おやつ |
16:00 | ご自宅まで送迎 |
デイサービスによっては個別機能訓練といって、体の機能を維持・向上させるための運動メニューを受けることができます。
実施される時間はデイサービスによって様々です。
続いてはリハビリ型デイサービスの1日の流れです。
8:30 | ご自宅へ送迎 |
9:00 | 施設到着後、準備体操を行い、プログラムを実施します |
11:30 | 整理体操などを行い、帰る準備 |
12:30 | ご自宅まで送迎 |
リハビリ型デイサービスはこのように、短い時間の中で運動に特化したサービスを受けることができます。
基本的には午前中か午後のプログラムのどちらかに参加することができます。
デイサービスに利用条件はある?
デイサービスの利用条件を解説していきます。
幅広いニーズに対応しているデイサービスですが、通うための条件があります。
施設によって細かな利用条件は異なりますが、ここでは一般的なものを見ていきましょう。
何歳から利用できる?
デイサービスは65歳以上の方が利用することができますが、条件によっては40~64歳の方も利用することができます。
条件については後述する「要介護・要支援しか利用できない?」の項目で解説します。
認知症の方でも利用できる?
デイサービスは認知症の方でも利用することができます。
ただし、認知症の症状によって利用できる施設は異なりますので、詳しくは問い合わせる必要があります。
要介護・要支援しか利用できない?
デイサービスは基本的に要支援、要介護状態で65歳以上の方が利用することができます。
ですが、16種類の特定疾病に認定された40~64歳の方も特例として利用が可能です。
以下に特定疾病をまとめたのでご覧ください。
がん(回復の見込みのない末期の状態) |
関節リウマチ |
筋委縮性側索硬化症 |
後縦靭帯骨化症 |
骨折を伴う骨粗鬆症 |
認知症 |
進行性核上性麻痺 |
大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病 |
脊髄小脳変性症 |
脊柱管狭窄症 |
早老症 |
多系統委縮症 |
糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症 |
脳血管疾患 |
慢性閉塞性肺疾患 |
両側の膝関節症もしく股関節に著しい変形を伴う変形関節症 |
上記は老化が原因とされている疾病です。
各疾病の詳細な認定基準や診断についてはケアマネージャーや医師にご相談ください。
デイサービスにかかる費用は?
デイサービスにかかる費用は以下のようなものです。(1割負担の場合)
介護度(要介護の場合) | 1日あたりの費用目安(基本料金) |
---|---|
要介護1 | 400~750円 |
要介護2 | 450~850円 |
要介護3 | 500~1,000円 |
要介護4 | 550~1,200円 |
要介護5 | 600~1,300円 |
介護度(要支援の場合) | 1か月あたりの費用目安 |
---|---|
要支援1 | 1700円 |
要支援2 | 3400円 |
※施設によって詳細は異なります。
また、要支援は1回ごとの利用料ではなく月ごとに定額の費用がかかります。
上記の費用は自己負担が1割の費用目安となっています。
自己負担が2~3割の方は、2~3倍の費用がかかるため注意が必要です。
その他の費用
基本料金の他に別途費用がかかるものもあります。
以下のようなものが別途費用の対象になります。
- 入浴
- 送迎
- 個別機能訓練
- 食事
- 施設に介護職や看護職が手厚く配置されている
上記が代表的なものです。
これらのサービスが該当・実施された場合は基本料金の他の別途費用がかかります。
デイサービスに補助金はある?
高齢者施設によっては補助金が利用でき、支払う費用を低額に抑えることができるものもあります。
しかし、そのようなデイサービス施設は現状では少ないです。
デイサービスにおいて補助金は利用することはまず出来ないと考えましょう。
介護保険は使える?
デイサービスは介護保険を利用して通うことができます。
介護保険には毎月利用できる上限があります。
それを超過してしまった場合は介護保険を使うことはできず、全額自費での利用になります。
毎月利用できる介護保険の上限についてはケアマネージャーが把握いますので、気になった場合には確認することをおすすめします。
デイサービスの利用時間は?
デイサービスの利用時間は各施設によって全く異なります。
午前中や午後のみの施設もあれば、1日を通して利用することができる施設もあります。
デイサービスの探し方・選び方
本項目ではデイサービスの探し方と選び方をご紹介します。
探し方
1.相談
デイサービスを利用したい場合はまずケアマネージャーに相談します。
ケアマネージャーがその方のニーズをくみ取り、利用しやすい施設候補を探してくれます。
2.見学
実際に見学に行き、施設の内容を確認します。
3.計画
ケアマネージャーがケアプラン(介護計画書)を作成します。
4.顔合わせ
その後、利用する施設の担当者、ケアマネージャー、利用する本人、家族を含めて利用前の顔合わせを行います。(サービス担当者会議)
5.契約
最終的に施設と契約を結び、利用が開始されます。
探し方は上記のようになっています。
まずはケアマネージャーに相談することから始めるのをおすすめします。
また、実際に利用している人の口コミを聞いたり、かかりつけ医に相談したりするのも一つの手段です。
選び方
デイサービスを選ぶ際のポイントはいくかあります。
まずは見学前にどのようなサービスを求めるのかをしっかり整理から行くのが良いでしょう。
見学の際に確認するべきは以下のポイントです。
送迎に関すること
施設によって送迎の時間や方法が異なります。
家族が仕事をしている場合など、朝のお迎えの時間がうまく調整できる施設だと利用しやすいでしょう。
また、送迎の方法についても確認をしておくと不安が減ります。
スタッフについて
スタッフの対応も見ていきましょう。
他の高齢者に対するコミュニケーションや雰囲気をしっかりと確認することは非常に大切です。
個別機能訓練
病院のリハビリのようなプログラムです。
デイサービスでは個別機能訓練と呼ばれています。
どのような内容の運動をしているのか、実際に現場を見せてもらうことも可能です。
食事
高齢者がお持ちの病気によって食事内容も異なります。
そのため、しっかりと食事形態や内容の対応をしてくれるのかも確認しましょう。
また、食事は楽しみの一つにもなるので、実際に試食ができるのか相談してみるのもおすすめの方法です。
デイサービスの申し込み方法
前章でも解説したように、まずは担当のケアマネージャーに相談します。
その後、気に入った施設があればケアマネージャーが申し込みをしてくれます。
施設の担当者から説明や打ち合わせ(基本的にはご自宅で行います)を実施し、契約書にサインをしたら、利用が開始されます。
まとめ
デイサービスは日帰りで通うことのできる施設です。
社会交流や運動、入浴、お風呂などさまざまなサービスを受けることができます。
施設によっては運動に特化したものもあるので、ニーズによって幅広く選ぶことができます。
基本的に利用できる方は要支援~要介護の方ですが、条件を満たせば40~64歳の方も利用することができます。
施設によって特徴が大きく異なるため、実際に見学に行き、直接確認することが重要です。
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