人は誰でも年をとると記憶力の低下が起こります。
ほとんどの方が物忘れの自覚がでてきますよね。
「物忘れ」は脳の老化によっておこりますが、「認知症」はそれとは違います。
日常生活に大きな影響を及ぼしてしまうこの病気はもはや他人事ではありません。
2025年には65歳以上の6人に1人が発症してしまうといわれています。
本記事で詳しく解説していきます。
目次
認知症とは?定義や意味を解説
認知症とは「さまざまな疾患により認知機能が低下し、生活に支障がでている状態(6か月以上継続している状態)。」のことをいいます。
認知機能をわかりやすく説明すると、なにかを考えたり、理解したり、記憶する力のことです。
つまりこの病気は覚えることや考えることが苦手になってしまう状態です。
日常生活に当てはめてみると以下のようなことがみられます。
- 人の顔や名前がわからない
- ものの使い方がわからない
- お金の計算ができない
- 日付がわからない
上記のような日常生活で必要なことが難しくなってきます。
その結果、1人暮らしをしている場合などは生活の中に介護が必要になってくることもあります。
認知症の種類
認知症にはいくつかの種類があるのでみていきましょう。
アルツハイマー型認知症
最も多い種類がこの「アルツハイマー型認知症」です。
脳の神経細胞が少なくなってしまい、記憶や判断、理解が苦手になってしまいます。
割合としては全体の約63%程度だといわれています。
血管性認知症
次に多いのが「血管性認知症」です。
これは脳出血や脳梗塞などによって起こるものです。
脳の血管に問題があり発生するため、起こる場所によって症状が違います。
割合としては全体の19%だといわれています。
レビー小体型認知症
脳全体にレビー小体という異常なたんぱく質が溜まり、脳細胞が少なくなってしまうことによって起こります。
比較的最近発見された病気であり、幻視が見えるのが特徴的です。
前頭側頭型認知症(ピック病)
紹介した種類の中で最も少ないですが、介護が難しくなってしまうケースも多いです。
脳の前頭葉と側頭葉の神経細胞が少なくなってしまうために起こります。
周りに配慮した行動ができなくなったり、暴言を吐いてしまったりなど、人間関係の問題が起きやすくなります。
認知症の症状はどんな風に進行する?経過とともに紹介
本章では認知症がどのようにはじまり、最終的にはどのような問題が発生してしまうのかをご紹介していきます。
実際には原因となる疾患によって多少異なります。その中でも共通することが多いものをまとめました。
初期症状は約束や自分のしたことを忘れてしまう
以下のようなことが起こりやすいです。
- 1日に同じ話を何度もしてしまう
- 人との約束をすっぽかしてしまう
- 物を失くすことが多くなる
- 買い物してきたことを忘れ、同じものを買ってしまう
これらの症状が多くなると認知症の可能性があります。
初期の場合は家族も気がつかないことがあります。
症状が進むと日常生活に問題がでやすい
病状が進んでくると、記憶の問題だけでなく日常生活の様々な場面で症状が現れてきます。
病状が進むと、
- 数分前のことが覚えられなくなる
- いつも通っている道でもどこだかわからなくなる
- 近所の人やあまり会わない人の顔がわからなくなる
- 季節や時間がわからなくなる
- リモコンや電子レンジなどものの使い方がわからなくなる
- 洋服を着るのがうまくいかなくなる
以上が多く起こり、1人で生活することが難しくなるので、介護の助けを借りるケースも多いです。
最終的には体を動かすことも大変に
さらに進行すると最終的には体を動かすことも困難になり、車いすでの生活になります。
脳の広い範囲にわたって機能が失われてしまいます。
その結果、食べることや会話、外の刺激に対する反応も難しくなってきます。
動くことや食べることが苦手になってきてしまうと、体はだんだんと衰弱してきます。
そして最終的に死の転帰を迎えることになります。
認知症は何歳から?年齢別の発症率を紹介
認知症は何歳から起こるのでしょうか?年齢別の発症率を見ていきましょう。
参考:日本おける認知症の高齢者人口の将来推移に関する研究認知症(H26年厚生労働省)
年齢別に発症率を調査すると年を重ねるごとに多くなっていることがわかります。
- 65~69歳は2.2%
- 70~74歳は4.9%
- 75~79歳は10.9%
- 80~84歳は24.4%
- 85歳以上が55.5%
このような結果になっています。
この調査結果を参考にすると65歳以上から発症しやすくなっているようです。
認知症は治るの?
認知症には治るものと治らないものがあります。
治るものとしては以下のような原因で起こるものがあります。
- 正常圧水頭症(せいじょうあつすいとうしょう)
- 慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)
- 脳腫瘍など
これらの原因で起こるものはきっかけとなっている病気を取り除けば治ります。
一方、治らない認知症としては、先ほど紹介したアルツハイマー型や脳血管性、レビー小体型、前頭側頭型などの認知症が当てはまります。
これら4つは脳の神経細胞が少なくなることで発生しているため、今の医学の力をもってしても治すことはできないのです。
現在では少しでも進行を食い止めるための予防やリハビリを行うのが主流となっています。
認知症の予防やリハビリに関する記事はこちらをご覧ください。
認知症は何科を受診する?
認知症を診てくれる科は多くあります。
一般的には神経内科や脳外科を選択することが多いでしょう。
どの科に行けば良いか迷った場合には、普段から通っている病院に行くのも良い方法です。
また、「物忘れ外来」「認知症外来」では専門的な診断や相談を受けることも可能です。
認知症とアルツハイマーの違いは?
認知症とは病気の名称ではありません。
記憶や判断、理解などの機能が苦手になってしまい、生活に支障の出る状態になっていることをいいます。
アルツハイマー病とは認知症の原因になりうる病気のことです。
つまり、認知症を引き起こす病気の1つにアルツハイマー病があるというわけです。
認知症ともの忘れの違いは?
認知症は「脳の細胞が減ることにより起こる」病気です。
一方、物忘れは「加齢によって起こる」老化現象です。
この2つには忘れ方に大きな違いがあります。
物忘れの場合、エピソードは覚えています。
しかし、一部に記憶があいまいになるということが起こります。
認知症ではエピソード全体を忘れてしまうという特徴があります。
例えば朝食を食べた場合に「朝食でなにを食べたか思い出せない」のは老化によって起こる物忘れです。
一方、認知症では「朝食は食べていない」になります。
物忘れで起こる記憶の問題とは全く別なのです。
まとめ
認知症は「脳の認知機能が低下し、生活に支障がでる状態」のことをいいます。
アルツハイマー型認知症はその最も多い原因です。
65歳以降になると発症が少しずつ増加し、85歳以上では半数以上の方がかかっているといわれています。
ものごとを忘れてしまうことが多くなり、最終的には生活に支障がでてしまいます。
2025年になると6人に1人がこの病気になるといわれており、決して他人事ではありません。
私たち一人一人が理解し、手を取り合うことが必要になってきます。
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