年齢を重ねていき、自宅での生活が難しくなった時の選択肢として高齢者施設があります。
しかし、高齢者施設にも数多くの種類があり一体どこを選べばいいのかわからなくなってしまいますよね。
本記事では高齢者施設の一つでもある介護老人保健施設にフォーカスし、詳しく解説していきます。
介護老人保健施設の費用や入居基準、条件について是非参考にしてください。
目次
介護老人保健施設(老健)とは?
介護老人保健施設とは一般的に「老健」と呼ばれているものです。
介護老人保健施設は高齢者が終身まで住める施設ではなく、リハビリをおこない家での生活を再開するための施設です。
医療的なケアとリハビリが中心で要介護認定を受けている方が入所することができます。
厚生労働省の定める運営基準
本章では、介護老人保健施設に義務付けられているスタッフの配置についてご紹介していきます。
介護老人保健施設には以下のスタッフが配置されています。
- 医師
- 看護師
- リハビリスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)
- 栄養士
- 支援相談員
- 薬剤師
他の施設との違いで特徴的なのは医療に関するスタッフが充実している点です。
他の介護保険施設との違い
他の介護保険施設との違いはリハビリをおこない自宅復帰を前提とした施設であるということです。
原則として3ヶ月しか入居することができず、その間に医療ケアとリハビリを中心におこない機能の回復をはかっていきます。
また医師が常駐しており、医療的なケアが手厚く受けられます。
高齢者施設の中で医療スタッフが多い施設と言えるでしょう。
介護老人福祉施設との違い
介護老人福祉施設とはいわゆる特別養護老人ホームのことです。
介護老人福祉施設と介護老人保健施設の違いを以下の表にまとめました。
介護老人福祉施設 | 介護老人保健施設 | |
---|---|---|
目的 | 高齢者が終身まで住めるもうひとつの住まいとしての機能があります。 基本的に家に戻ることを想定しておりません。 |
医療ケアやリハビリを中心的におこない、家に戻ることを目的としています。 |
入居条件 | 原則として要介護3以上の高齢者が入居することができます。 | 原則として要介護1から5までの高齢者が入居することができます。 |
費用 | 毎月8~13万円 | 毎月10~20万円 |
介護老人福祉施設と介護老人保健施設との最大の違いはその目的にあります。
介護老人福祉施設は高齢者のもう一つの住まいとしての機能があり、終身まで入居することができます。
一方、本記事で解説している介護老人保健施設は終身まで入居することはできません。
あくまでも自宅復帰を目的としている施設です。
どちらも介護保険を利用できます。
介護療養型医療施設との違い
介護療養型医療施設とは、医療的ケアが必要な要介護度が高い高齢者が入居する施設のことです。
一般的には病院を退院したが、まだ医療的なケアが必要な高齢者が入居するケースがほとんどです。
介護療養型医療施設と介護老人保健施設の違いを以下の表にまとめました。
介護療養型医療施設 | 介護老人保健施設 | |
---|---|---|
目的 | 介護サービスは提供されるがあくまでも医療施設です。 高度な医療的ケアが必要な要介護者が入居できる施設であり、本来は寝たきり患者に対するケアが中心となっています。 |
医療ケアやリハビリを中心的におこない、家に戻ることを目的としています。 |
入居条件 | 原則として要介護1から5までの高齢者が入居することができます。 しかし、より介護度が高い患者が入居できる傾向にあります。 |
原則として要介護1から5までの高齢者が入居することができます。 |
費用 | 毎月10~17万円 | 毎月10~20万円 |
介護療養型医療施設と介護老人保健施設との最大の違いは医療的ケアの充実度にあります。
介護用医療型医療施設の方がより重度な患者に対応することができます。
介護療養型医療施設はあくまでも医療施設であるため、医療的ケアが必要なくなった場合は退去を求められることもあります。
入居条件
入居条件は原則として要介護1~5までの65歳以上の高齢者です。
しかし、40歳~64歳未満までの特定疾病に認定されている方も入居することができます。
特定疾病に認定されている病気は以下のものです。
末期がん | 関節リウマチ |
筋委縮性側索硬化症 | 後縦靭帯骨化症 |
骨折を伴う骨粗鬆症 | 認知症 |
進行性核上性麻痺 | 大脳皮質基底核変性症 およびパーキンソン病 |
脊髄小脳変性症 | 脊柱管狭窄症 |
早老症 | 多系統委縮症 |
脳血管疾患 | 糖尿病性腎症 および糖尿病性網膜症 |
慢性閉塞性肺疾患 | 両側の膝関節症 もしくは股関節に著しい変形を伴う変形関節症 |
介護老人保健施設は医療的ケアをおこないますが、高度な処置が必要な高齢者は入居できないことがあります。
医師や看護師が24時間配置されてない施設もありますので、各施設に確認をしてみる必要があります。
入居費用
介護老人保健施設の入居費用は、前章で紹介した通り10~20万円ほどです。
入居費用の内訳は以下の通りです。
入居費用内訳 |
サービス費(介護に関する費用) |
居住費(部屋にかかる費用) |
食費(3食分の食費) |
日常生活費(新聞、理美容代など) |
合計10~20万円 |
---|
入居費用は要介護度や収入、介護保険の自己負担割合によって変わってきます。
基本的には要介護度が高いほど入居にかかる費用は高くなります。
また、収入が低い人には入居に関する費用が一定額免除される減免制度があります。
この減免制度は4段階にわかれ、生活保護の方でも利用することができます。
よくある質問
この項目では介護老人保健施設に関するよくある質問をまとめました。
どのぐらいで入居できるの?
介護老人保健施設はすぐに入居できないケースが多いです。
施設の準備もあるため、一般的には1~3週間ほど待機し、入居することになります。
緊急を要するケースでは、場合によりすぐに入居できることもあるようです。
入居できる時期に関しては施設の空き状況などにも左右されるため、ケアマネージャーとよく相談してみましょう。
医療保険と介護保険どちらが適用される?
介護老人保健施設の利用料は原則として介護保険が適用されます。
要介護認定を受けている方が介護サービスを利用する時には介護保険を優先して利用するという決まりがあるからです。
しかし、介護老人保健施設を利用しながら病院へ通院することもあります。
病院で受けた医療サービスに関しては医療保険が適用されます。
つまり、基本的には介護保険を優先的に利用しますが、受けるサービスの内容によっては医療保険も併用して使われるということです。
3か月の入居期間中に回復できなかった場合は?
介護老人保健施設は原則として3ヶ月の入居期間です。
しかし、実際には3ヶ月で回復できる方は3~4割程度しかいなく、それ以外の方は3ヶ月を超えても入居継続していきます。
制度では終身まで利用することはできないことになっています。
しかし、3か月を超え回復が追いついていなくても、すぐに家に戻らなければいけないということはほとんどありませんので安心してください。
入居中の薬代に保険は使える?
たとえ入居中でも薬代に保険を利用することができます。
また、薬代などの医療費が一定以上になった場合には高額療養費制度を利用することができます。
これはある一定以上の支払いになった場合に、かかった金額の一部が還付されるという制度です。
制度を受けるための条件などがありますのでケアマネージャーに詳細を聞いてみましょう。
まとめ
介護老人保健施設は医療ケアとリハビリを中心におこなわれます。
この施設の目的は体の機能を回復させ在宅に復帰することです。
したがって原則として、終身にわたって利用することはできません。
他の介護施設と違い医療を専門とするスタッフが多く配置され、充実したケアを受けることができます。
しかし、あくまでも介護施設のため高度な医療を必要とする方は入居ができないケースもあります。
地域によってはすぐに入居することができない場合もあるので、ケアマネージャーとしっかりと相談することが必要になってきます。
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