40歳を超えると介護保険への加入が義務付けられます。
これは高齢者や要介護の認定を受けた方々のために使われる保険です。
万が一病気になってしまった時にはこの保険が日々の生活を支えてくれます。
しかし、介護保険の仕組みや必要性など、介護保険のことが詳しくはわからないという人も多いのではないでしょうか。
本記事では介護保険の意味や制度の仕組み、給付の種類などを詳しく解説していきます。
目次
介護保険とは?意味を解説
介護保険とは高齢になったり、 病気になったりした場合に日本全体で支え合うことを目的とした制度のことです。
少子高齢化に伴い、高齢者や病気の方を家族だけで支えるのは困難になってきました。
それを補うために2000年4月から施行されました。
介護保険制度の仕組み
介護保険制度の仕組みは以下のようなものになっています。
40歳以上のすべての国民が払っている保険料と国や市区町村の税金が使われています。
これによって介護を受ける方は全額を支払う必要がなく、1割~3割の負担で介護サービスを受けることができています。
介護保険に加入する必要性
40歳になった時点で加入が義務付けられていますので、介護保険料を支払わなくてはいけません。
介護保険料の滞納があると延滞料なども発生してしまいます。
また、滞納する期間が長くなってしまうと介護保険制度を使えないということも起きてしまうため、 支払わない場合のデメリットはとても大きいものになります。
2018年には厚生労働省から、2年以上滞納した場合4割の自己負担をしなければいけなくなるということが全国の自治体に伝えられました。
実際に介護を受けてみる立場になると毎月の介護にかかる費用は大きくなる可能性があるため、しっかりと介護保険に加入する必要があります。
【介護ニュースサイト JOINT】介護保険料の滞納、高所得者の罰則を拡大へ 自己負担4割に 厚労省より引用
介護保険と介護認定の関係性
介護が必要な状態になると介護認定というもの申請することができます。
要支援1~要介護5までの7段階があり、どの程度介護が必要かによって区分が変わってきます。
最も軽い状態が要支援1で、最も重たい状態が要支援5となります。
それぞれの区分によってどの程度介護保険が利用できるかが決まってきます。
以下、表にまとめたのでご覧ください。
要支援1 | 一部のサービスに対し介護保険を利用することができる。 |
要支援2 | |
要介護1 | さまざまなサービスに対し介護保険を利用することができる。 要介護度が上がるほど、介護保険が利用きる上限が高く設定されている。 |
要介護2 | |
要介護3 | |
要介護4 | |
要介護5 |
受けられるサービスの内容
介護保険に加入していると、介護保険サービスを自己負担1割~3割の間で利用することができます。
どのようなサービスが受けられるのかを見ていきましょう。
介護施設
介護施設には様々なものがあり、介護保険が使えるものと使えないものに分かれます。
有料老人ホーム | 施設の利用料は自費で支払う必要がある。 しかし、高額になる分質の高いサービスを受けることができる。 |
高齢者施設(特別養護老人ホームなど) | 介護保険を利用して入居することができる。 有料老人ホームに比べ、比較的低額で利用することができる。 |
介護保険が使える高齢者施設は比較的費用は低額でおさえられます。
しかし、介護保険を使うことができない有料老人ホームでは費用が高額になってくる場合がほとんどです。
介護サービス
施設以外のサービスとしては介護サービスがあります。
こちらに関しても様々なサービスがあるので一覧で見ていきましょう。
ケアマネージャー | 介護サービスをどのように利用すれば良いか計画をたててくれます。 本人に合った介護サービスを適切に組み立ててくれ、司令塔のような役割です。 |
要支援サービス | 要支援の人が利用することができるサービスです。 日常生活のお手伝いやリハビリ、訪問看護などがあります。 しかし、介護認定を受けている方と比較して、保険を使えるサービスを少ないです。 |
要介護サービス | 入浴、食事、清掃といった日常生活を支えるサービスやリハビリ、訪問看護、入居など幅広くあります。 |
ここにご紹介しているものは基本的に介護保険で利用することができます。
また、介護保険を使う際に相談役となってくれるのがケアマネージャーです。
ケアマネージャーに関しては費用がかかることはなく、介護サービスをどのように利用したらいいかを一緒に考えてくれる頼もしい存在となっています。
介護保険料はいくら?
続いては介護保険料について解説していきます。
40歳になると加入が義務付けられている介護保険料ですが、住んでいる地域や健康保険組合などによって違います。
40~64歳の方の介護保険料は平均で毎月5352円でした(2015~2017年度)。
介護保険料は毎年少しずつ上がっており、 少子高齢化に伴い今後も上昇してくるものと予想されます。
65歳以上になると、本人や世帯の収入、市区町村によって介護保険料は変わってきます。
保険料の納付は何歳から何歳まで?
介護保険料の支払いが始まるのは40歳の誕生月からです。
例えば4月2日が誕生日だった場合、4月1日が資格取得日となります。
そのため4月分から介護保険料を徴収することになり、 そこから毎月支払うことになります。
介護保険料は40歳から支払いが始まり、亡くなった日の翌日の前の月まで継続されます。
何歳になったら支払いが終わるというものではなく一生涯支払い続ける必要があるのです。
また、介護保険サービスを利用している時でも支払いは継続されます。
国民年金のように最長40年支払うとそれ以降は支払いが不要という制度はありません。
65歳になると徴収方法が大きく変わる
65歳になると介護保険料の徴収方法が変わります。
64歳まで給与から天引きされている場合は、天引きによる支払いではなくなります。
65歳からの介護保険の徴収方法には2種類あります。
特別徴収 | 公的年金から自動的に徴収される制度のこと |
普通徴収 | 直接、市区町村に介護保険料を納める制度のこと |
この2種類の方法は自分で指定するものではなく、法律によって決められています。
公的年金支給額によって特別徴収もしくは普通徴収のどちらかになります。
介護保険による保険給付の種類
介護保険の中には予防給付と介護給付というものがあります。
この2つを簡単に説明すると以下のようなものになります。
予防給付 | 要支援の方が利用することができる制度 |
介護給付 | 要介護の方が利用することができる制度 |
予防給付と介護給付では受けられるサービスが違ってきます。
予防給付と介護給付の違いについてさらに詳しく見ていきましょう。
予防給付
予防給付とは日常生活の支援が必要な方のために利用される保険です。
基本的な考え方としては自宅で生活することを前提に日常生活を支えるための制度です。
要介護認定がおりている方よりも利用できるサービスは少なく、利用できる回数も制限されることもあります。
介護給付
要介護状態の方が利用できます。
要支援状態で提供される予防給付よりも幅広いサービスが使えるようになります。
大きな違いとして、予防給付では高齢者施設のサービスは利用できませんが、介護給付では高齢者施設のサービスを受けることができます。
以下に介護給付で受けられる高齢者施設サービスをまとめました。
介護老人保健施設 | 要介護1~5の方が利用できる施設。 主に医療的なケアとリハビリが中心。 |
介護療養型医療施設 | 要介護1~5の方が利用できる施設。 主に医療的なケアとリハビリが中心。医師が常駐している。 |
特別養護老人ホーム | 要介護3以上に方が入居できる。 身体介護を中心したサービス。 |
介護保険と生命保険の違い
介護保険と生命保険は大きく違います。
介護保険は40歳になると強制的に加入する公的な保険であるのに対し、生命保険は民間が運営する保険です。
介護保健 | 40歳になると強制加入。 要支援状態もしくは要介護状態になると保険が利用できる。 |
生命保険 | 任意で加入する保険。 さまざまなオプションがあり、どのようなサービスを受けるのかを自分で決めることができる。 |
生命保険には現在様々な種類があり、介護認定がおりた際に一時金が支払われるものもあります。
公的な保険である介護保険に加えて生命保険に加入することも、老後を見据えて必要なことかもしれません。
介護保険と医療保険の違い
介護保険と医療保険も似ているようで違いがあります。
介護保健 | 介護のために利用される保険 |
医療保険 | 病気のために利用される保険 |
また、病気や年齢によってどちらが優先されるかが異なります。
以下の項目で詳しくみていきましょう。
どちらが優先される?
年齢や病気によってどちらが優先されるかが決まってきます。
以下の表にまとめましたので確認してみましょう。
要介護認定を受けていない | 原則として医療保険 |
要介護認定を受けている | 原則として介護保健 |
厚生労働省が定める疾病等の方 | 要介護認定を受けていても、原則として医療保険 |
上記の表で解説したものは基本的な考え方です。
異なる病気を2つ持っている場合や、いくつかのサービスを1日に同時に使う場合などは、例外となることもあります。
そのため介護保険と医療保険を併用して使いたいという場合には、ケアマネージャーに相談することをおすすめします。
まとめ
介護保険とは40歳になると強制的に加入する制度です。
高齢者や病気になり、介護が必要になった時に社会全体でサポートする仕組みになっています。
介護が必要な状態になると毎月多くの費用が必要になります。
そのため、介護保険料は滞納せずに継続して支払わなければいけません。
少しでも暮らしやすい老後を過ごすために、介護保険制度のことはしっかりと覚えておきましょう。
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