ご家族の方が年齢を重ねると自宅で介護することが難しくなることがあります。
しかし、高齢者施設を調べてみてもさまざまな種類があり、一体どこがいいのだろうかと迷ってしまいますよね。
この記事を読んでいるあなたもそういった悩みはありませんか?
本記事を読むことによって特別養護老人ホームの費用や入居条件、他の施設との違いがわかります。
特別養護老人ホームについて詳しく解説していきますのでご覧ください。
目次
特別養護老人ホーム(特養)とは?
特別養護老人ホームとは介護老人福祉施設とも呼ばれ、公的な機関が運営する高齢者施設の一つです。
主に社会福祉法人や自治体が運営をしております。
要介護3以上の高齢者が入居可能であり、基本的に終身にわたって利用できます。
公的な機関が運営するため高齢者施設の中では比較的価格をおさえられます。
他の介護施設との違い
有料老人ホームの特徴は、公的な機関が運営するため費用が安くおさえられ、終身に渡って利用することができるという点です。
運営する機関の違いから他の施設との差が生まれてきます。
他の施設との違いを見ていきましょう。
有料老人ホームとの違い
有料老人ホームとの違いは入居条件とかかる費用です。
以下の表をご覧ください。
有料老人ホーム | 特別養護老人ホーム | |
---|---|---|
住居条件 | 施設によって異なるが自立から要介護5まで幅広く入居可能 | 原則として要介護3以上の高齢者が入居可能 |
費用 | 主に民間企業が運営している。 特別養護老人ホームに比べると費用がかかることが多い |
主に公的な機関が運営している。 高齢者施設の中では比較的費用をおさえ利用可能 |
有料老人ホームの場合は大きな費用がかかってしまうことがほとんどですが、そのかわり特別養護老人ホームと比較して入居待ちが少ないことが多いです。
一方、特別養護老人ホームは費用が抑えられることから、高齢者施設の中ではとても人気です。
そのため入居待ちが長い期間続いてしまうことがあり、すぐに入居できないケースが多いです。
特別養護老人ホーム・・・費用は安い、入居待ちが多い
有料老人ホーム・・・費用が高い、入居待ちは少ない
介護老人保健施設(老健)との違い
特別養護老人ホームと介護老人保健施設との違いは入居できる期間とその目的です。
以下の表で確認していきましょう。
介護老人保健施設 | 特別養護老人ホーム | |
---|---|---|
入居期間 | 期間は原則として3ヶ月 | 終身にわたって利用することもできる |
目的 | 主に民間企業が運営している。 特別養護老人ホームに比べると費用がかかることが多い |
主に公的な機関が運営している。 高齢者施設の中では比較的費用をおさえ利用可能 |
表をご覧になるとわかる通り、介護老人保健施設はリハビリをおこない自宅に復帰することを目的としています。
一方、特別養護老人ホームは介護が必要になった高齢者のもう一つの住まいとしての機能があります。
そのような違いがあるため大きく入居期間も異なるのです。
介護老人福祉施設との違い
介護老人福祉施設と特別養護老人ホームは同じ施設のことを意味します。
厚生労働省の発表では特別養護老人ホームの正式名称が介護老人保健施設となっています。
一般的には介護老人福祉施設ではなく、特別養護老人ホームと呼ぶことが多いです。
入居費用
特別養護老人ホームでは介護保険を利用しながら入居できます。
そのため、有料老人ホームなど民間が運営する施設と比べて比較的安い費用で利用できるのが特徴です。
一時入居金などもなく、毎月発生する利用料のみを支払いながら入居していきます。
月額料金
特別養護老人ホームの月額料金は介護度や収入によって異なります。
収入が少なければ月額料金も安くなる仕組みになっています。
介護保険の自己負担割合が1割で要介護度3、個室に入居するケースを基準に月額料金を見ていきましょう。
介護度 | 要介護度3 |
入居費 | 35,000円前後 |
食費 | 40,000円前後 |
サービス費 | 16,000円前後 |
生活費 | 10,000円前後 |
合計 | 約101,000円 |
特別養護老人ホームの月額料金は介護度や収入だけでなく、どのような部屋を利用するかによっても異なります。
そのため、本記事に記載したものはあくまでも参考程度にとどめ、実際に利用を検討している施設に問い合わせることが必要です。
入居基準
特別養護老人ホームの入居条件には大きく分けて3つあります。
入居条件を以下の表にまとめましたのでご覧ください。
要介護度3以上の方 |
特定疾病と認定された40歳から64歳までの要介護度3以上の方 |
やむを得ない事情があり入居希望する要介護度1、2の方 |
原則として要介護3以上の65歳以上の高齢者が入居できます。
しかし、上記のように特例として他の条件を満たすことによって入居できるケースがあります。
40歳~65歳、要介護度3以上、特定疾病
特定疾病とは加齢現象と関係があるとされている病気のことを言います。
特定疾病には全部で16種類あります。
これらの病気と認知され要介護3以上の方は特別養護老人ホームに入居できます。
以下、一覧表で紹介します。
末期がん | 関節リウマチ |
筋委縮性側索硬化症 | 後縦靭帯骨化症 |
骨折を伴う骨粗鬆症 | 認知症 |
進行性核上性麻痺 | 大脳皮質基底核変性症 およびパーキンソン病 |
脊髄小脳変性症 | 脊柱管狭窄症 |
早老症 | 多系統委縮症 |
脳血管疾患 | 糖尿病性腎症 および糖尿病性網膜症 |
慢性閉塞性肺疾患 | 両側の膝関節症 もしくは股関節に著しい変形を伴う変形関節症 |
やむを得ない事情がある要介護度1、2の方
やむを得ない事情とは虐待があったり、住んでいる地域に介護保険サービスが不足していたりする場合です。
また認知症や精神障害、知的障害などがあり、生活に大きな支障が出るケースもこれに該当します。
厚生労働省が定める基準・法律とは?
特別養護老人ホームの設立には様々な基準があります。
その中に人員配置の基準も含まれています。
特別養護老人ホームには以下のような人員を配置することが定められています。
- 医師(非常勤でも可能)
- 生活相談員
- 介護職員
- 看護職員
- 栄養士
- 機能訓練指導員
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)
以上の職種のスタッフが配置されています。
配置されている人数は入居している高齢者の人数によって異なります。
医療行為の有無
特別養護老人ホームでは医療行為を受けることができます。
しかし、必ずしも医師が常駐しているわけではないので医療体制に限界はあります。
医療機関ではなく、あくまでも高齢者施設のため医療度が高い方は入居が困難になるケースもあります。
特別養護老人ホームでおこなえる可能性がある医療行為を一覧で紹介します。
インシュリン注射 | 床ずれのケア |
たん吸引 | 胃ろう |
人工呼吸器の管理 | 在宅酸素 |
医師が常駐していない場合、外部から定期的に訪問し健康管理をおこないます。
医療体制の充実度で比較すると、介護付有料老人ホームの方が良いことが多いです。
介護付き有料老人ホームは医療施設との提携が義務付けられているため、診療所が併設していることもあります。
しかし、介護付有料老人ホームに関しても医療機関ではないため、どちらにせよ医療体制には限界があると言えるでしょう。
保険請求、医療費控除は利用できる?
特別養護老人ホームに支払う利用料の中には医療費控除の対象になるものがあります。
医療費控除の対象となるものは以下のような項目です。
- 食費、介護費及び居住費
- 実施される内科・歯科などの訪問診療での医療費
- 処方される薬代
- 外部病院へ通院するためのタクシー代や付添人の交通費
- 外部の病院でかかった医療費と薬代
そして医療費控除を受けるための条件が、
- 一定以上の収入がある方
- 一定金額以上の医療費がかかった場合
以上です。
上記の2つの条件を満たした場合に医療費控除を受けることができます。
公的年金の受給額が少ない方や遺族年金をもらっている方は対象とならないため注意が必要です。
詳細な条件に関しては地方自治体に問い合わせることをおすすめいたします。
よくある質問
この項目では特別養護老人ホームに関するよくある質問についてまとめました。
生活保護受給者でも入居できる?
特別養護老人ホームは生活保護受給者でも入居可能です。
しかし、原則として要介護3以上という入居条件があるため、それを満たすことが必要です。
また特別養護老人ホームは地域によって長い期間入居待ちが必要なことも多いです。
希望する特別養護老人ホームに問い合わせてみましょう。
閉鎖のリスクは無いの?
閉鎖のリスクはどこの施設でもあり得ます。
しかし、民間の施設が運営する有料老人ホームよりも閉鎖のリスクは少ないと言えるでしょう。
社会福祉法人や自治体が運営しているため、 安全な経営をおこなっている可能性が高いためです。
ユニット型(ユニットケア)とは?
ユニット型とはプライバシーが守られた個室に住みながらキッチンや食堂、リビングが共有されているひとつの区画のことをいいます。
特別養護老人ホームの施設内にいくつかのユニットが作られ、介護もそのユニットごとにおこなわれます。
一人一人のプライバシーが守られながら、他の利用者との交流ができることから人気のタイプになっています。
認知症を抱えている人にとっては、いつも馴染みな顔がいることは安心感に繋がるとも言われています。
住所変更しないとダメなの?
特別養護老人ホームに入居する場合、住所変更をおこなう必要があります。
市外の施設と市内の施設のどちらを利用するかによって手続きが異なります。
市外の施設を利用する場合には、住所地特例制度に該当するので注意が必要です。
住所地特例とは?
住所地特例制度とは、入居する施設の市区町村に住民票を移した場合でも、住所を移す前の市区町村が引き続き保険者となる特例措置のことを言います。
つまりA市からB市に引っ越し、B市にある特別養護老人ホームを利用した場合には、保険料の支払いはもともと住んでいたA市におこなうというものです。
これは介護施設が集中している地区の介護負担が集中しないための仕組みです。
まとめ
特別養護老人ホームは公的な機関が運営している高齢者施設です。
公的な機関が運営しているため、有料老人ホームなどに比べると費用が安くおさえられることからとても人気の施設です。
そのため、地域によっては待機待ちが長い期間に及ぶケースもあり、なかなか入居できないことが問題になっています。
どうしても施設に早く入居したい場合は有料老人ホームを、入居費用を安くしたいなら特養と選び分けるようにしましょう。
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